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『暇と退屈の倫理学』國分功一郎著

Stay homeが叫ばれています。

私は買い物や散歩は好きですが、人混みが好きではありません。買い物をするときもそれなりの覚悟を決めて繁華街に繰り出しています。
 「せっかく繁華街まで来たんだからあの店も寄りたいし最近オープンしたってTwitterで回ってきたあの店のアイスも食べたい!」と思い行動するのですが、結局どっと疲れ、用事が済んだらどこにも寄り道せずげんなりしながら自宅に帰ることが多くあります。
 そのような性質なので、自宅で過ごす事はわりかし得意です。どこにも出かけず、休日は寝て過ごして終わることに違和感を覚えません。
 そんな私も、このStay home期間で気づいてしまいました…。料理、筋トレ、お絵描き、映画鑑賞、推し事を楽しむ世間のStay homeの充実ぶりに。
 そして、自分自身の暮らしぶりに一抹の不安がよぎりました。「私の人生、退屈なのでは…!?」と。

そんな時に読み始めたのがタイトルにもある『暇と退屈の倫理学』でした。この時私は至極焦っていたんでしょう。ものすごく気乗りしないと本を買ってもなかなか読めない人間だったんですが、この時は買ってすぐ読み始め、一気に読んでしまいました。

この本は、歴史や哲学の観点及び人間性の観点から、暇と退屈との向き合い方、そして何かに打ち込む事を憧れてしまう気持ちの吐き出し方を平明な文章で論じています。学生時代、歴史や哲学を理解するのに苦労した私でもすんなり咀嚼することができましたので読みやすかったです。

表紙を開き、まず序章を読んだ時、思わず唸りました。
 現代に生きる人間はそもそも己の欲望に基づき「好きなこと」をしているのか?主体性はあるのか?という根本的な問いがそこにはありました。そして、退屈を怖がる人間・「好きなこと」がわからない人間に資本主義が漬け込むんだよということも。「好きなこと」がわからない。まさに私だったのです。

前半は問いの答えを見つけるためにブックガイドのような形でいくつもの主義主張が紹介されるのですが、答えに行き着いた思ったら実は思想の落とし穴があり、それだけに括っていては解決にならないことを示されます。私たちの持っている「人間の常識」という思い込みを覆し、ホモ・サピエンスの時代まで遡ったり、他の動物と比較する事でようやく「人間の退屈」が見えてきました。退屈を生み出す社会構造も映画『ファイトクラブ』等を引用して説明されています。

面白いと思ったのは、人間は集中して何かを勉強する事で、ものの見方に変化が生まれるという現象です。例えば音楽であれば、作曲や音楽ジャンル、ジャンルの背景、歌詞の言語などを学ぶことにより、今まで聴いてきた音楽と違う聴き方をすることができるようになる。これを筆者はヤーコプ・フォン・ユクスキュルという理論生物学者の『環世界』という概念を参考にし、『環世界間移動能力』として提唱しています。そして、どの動物より比較的容易にこれができてしまう。このことが、人間を退屈たらしめる思考であり、退屈を解決するヒントの一部になっていました。

読み進めていて思わず笑ってしまったのは、パスカルの分析を途中まで説明し、「人間というのはみじめだなぁ、今の社会問題にも通じることがあるなあ」と斜に構えて他人事のように読んでいた人間を「お前もだよ、お前も!!」とぶった切っていたところです。これもパスカルの説明なのですが、このようにテンポの良い文章が何回も出てきて置いてけぼりにならずに済みました。

Stay homeのくだりで焦って一気読みしたと書きましたが、結論から言うと一気読み推奨の本でした。(筆者直々に推奨していました)
 この本を読んで退屈とは無縁になりました! とはならないのが人間の性。退屈とはなかなか離れられないけど、これからの伸びしろの宝庫だと解釈しました。退屈のメカニズムがわかることにより、何かを始めるハードルが下がった気がします。退屈はもうそういう生き物だから、自然な事だから。だから、なんでもいいから昨日とちょっと違う行動をしてみようかなと。この本を読んで知らなかったことがわかることに変わり楽しくなれば、退屈という空虚感も減っていくのかなと。寝て過ごすのも、もちろんありです。

なんだか、闊達自在な人物になっていけそうです。

タイトル

暇と退屈の倫理学 増補新版

著者

國分功一郎

本文組版

中村大吾

発行人

赤井茂樹

発行

株式会社太田出版

印刷・製本

中央精版印刷株式会社

装幀

有山達也

装画

ワタナベケンイチ

体裁

B6判変型

ページ

440ページ

版と刷

2017年3月30日 初版第5刷発行

発行年

2015年3月13日 初版第1刷発行

Written by Tsukimi Hirai
Copyright LagonGlaner and Author

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