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太陽に翻弄される女が落ち着くまでの記録

6 a.m. →怒りの時間帯

瞼を撫でられたような感覚が先にあり、見ると、真っ暗で何も見えなかったはずの部屋がほんのり輪郭を現す。

眠れないまま夜明けを迎えてしまった。そう気づいた時、絶望よりも激しい怒りを感じる。どうして、と顔を歪めそうになり、瞬間、昨日考えた言葉が頭に浮かぶ。

私の原動力は怒り、悲しみは準備期間。

この、ふきこぼれそうなほどの怒りは、無気力に生きる私の貴重なエネルギーなのだった。ならば利用してやろう、と怖い顔で考える。眠れない間に蓄積した悲しみが、太陽の光によって怒りに変換された。それを今、行動力に変える。外に出よう。もう眠るのはやめにしよう。

ここからあまり覚えていないが、すごい速さで着替え等を済ませて外へ出た。よく思い出せるのは大通りに出てから。その時にはもう、怒りの感情は使い尽くしてしまって、私はぼーっと歩いていた。感情の、なんて呆気ないことだろう。もっとたくさんのヤッテヤロウがあったはずなのに、まあいいか、別に。もう怒っていない。

だって、見て、ほら。明け方の街の不思議な色合い。私はすっかり魅力されてしまっていた。彩度が低く、明度でしか建物を見分けられない。色は光なんだと直感的に思う。走っている車もあるが、そのすべてに人間が乗っているとは理解しがたかった。パラレルワールドだったらどうしよう、とあり得ないことを考えながら進んでいると、街の中で唯一、恐ろしいほど鮮やかなマクドナルドを見つけ、眩しさに目を細める。ここだけ時間の流れが狂っているみたい、というか、実際狂っているのか。24時間営業。今活動しているのはここだけだ! お前が入るべきはここだ! と、うるさく誘いを受けるので、抗うことなく入店した。少し空腹も感じていた。

朝マックの時間帯。マフィンは胃に重たい気がして、アプリクーポンから”冒険のストロベリーパイ”との煽り文句を課せられたホットストロベリーパイを、冒険をする覚悟も無くセレクト。それからマストアイテムであるハッシュポテトを追加。プレミアムローストコーヒーはMサイズ120円のクーポンがあるけれど、経験上、Mは多すぎると気付きつつあるため使わない。レジでの会話が苦手で極力クーポン画面で注文したい私だが、コーヒーぐらいは頼めるんだぞ、と、レシートを受け取りながら心の中で威張る。

しばらくしてパイもポテトも出てきたのに、一番早いはずのコーヒーがまだ? と不思議に思ってドリンクコーナーを見てみると、先程レジをしていた店員が、先輩店員に教わりながら恐る恐るコーヒーを注いでいた。新人さんだったのか、それならもう少しゆっくり注文をすれば良かった、と思い、急いでませんよ〜ゆっくりで〜の柔らかいオーラを出せる能力、そんなものは無いので興味なさげにスマホをいじるフリをする。そういえばマクドの店員は、確かクルーと呼ぶのだそう。私がクルーと呼ばれる、それだけで気恥ずかしく、バイト応募には気後れするが、こんな明け方で空いているマクドなら働いても良いかもと、いい加減なことを考える。先輩クルーも優しそうだし。二人ともずっとスマイル0円。

お待たせしました、待ってませんよ、無言で軽く頭を下げたらトレーを持ってすぐさま退避。いつも通り二階席へと、無意味に一階席の様子を眺めながら向かう。おひとり様ばかりで会話がなく、誰とも目が合わないこの時間の地元マクド。誰が誰でもどうでもよくて、一日の中で一番、自分が何者でなくても許される時間かもしれない。

ストロベリーパイは、冒険心がなくても大丈夫だった。

ホットコーヒーは、やっぱりSでも十分足りる。

と、書き終えたところで嘘みたいに外がパッと明るくなった。太陽が完全に昇って、雲が向こうへ流れたらしい。きっともうこの店の明るさも悪目立ちしていないのだろう。そう思うと、私は芯から安心して体を背もたれにあずけた。

Written by Izumi Nakamura
Copyright LagonGlaner and Author

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