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「かわいい」の裏側にあるもの

〜すみっコぐらしに学ぶ〜

“逆詐欺映画”。『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』の盛況ぶりはネットで火が付いたことから一躍有名になった。劇場で優しく流れるエンドロールに涙を零した読者も多いだろう。

パステルカラーのかわいいキャラクター。筆者はこのすみっコたちをデビュー当初から地道に追いかけている。公式ファンクラブへの入会は勿論のこと、2018年に実施された「すみっコぐらし検定」では中級合格者の名誉をいただいているし、映画は当然のように5回観た。不定期に発売される書籍もゲームも購入している。



すっかり国民的に愛されるコンテンツになったすみっコぐらしだが、なにが我々をこんなに惹きつけるのか?

そこには様々あるだろう。

なんと言ってもその個性豊かな設定である。制作元のサンエックスという会社は今までにも「こげぱん」など、少し後ろ向きな性格のキャラクターを発表してきたがすみっコたちもご多分に漏れない。端っこの座席を好む傾向にある日本人の気質に存分に共感したキャラクターだ。

さむがりで人みしりの「しろくま」。自分が何者か自信がない「ぺんぎん?」。食べ残されてしまった「とんかつ」。恥ずかしがり屋の「ねこ」。本当は恐竜なのに自分を偽る「とかげ」。その他の脇役キャラに至るまで、どれも設定がありどれも愛らしい。



文房具をはじめ数多のグッズを展開する中で人気はやはりぬいぐるみが一番ではないだろうか?

人間は昔からぬいぐるみを愛好してきた。例えばA.A.ミルンによる児童文学の『くまのプーさん』の登場人物がぬいぐるみを元にしているのは広く知られている。

ぬいぐるみというと、筆者はとりわけ幼少期を思い出す。学校に行っている間に黙って捨てられてしまったボロボロの猫のぬいぐるみ。「洗濯してあげる」と強引に洗濯機に入れられ顔が変わってしまったクマのぬいぐるみ。どちらも大泣きして両親を困らせた。

ぬいぐるみとは楽しい時間をたくさん過ごしたはずなのに今になって思い出せるのは何故か悲しかった出来事ばかりだ。それはきっとぬいぐるみが自分にとってかけがえの無い存在だったからなのだろう。そう、大事な「友達」だ。

読者も幼少時代を共にした「友達」を一人はお持ちではないだろうか?



ぬいぐるみがどうしてこうも人類に受け入れられているのか。これは何もその外見の愛らしさばかりによるものではない。

 ――ぬいぐるみは喋らない
 ――ぬいぐるみは食事をしない
 ――ぬいぐるみは持ち主より先に死なない

ぬいぐるみは人間にとって実に都合のいいように作られている。持ち主にとって都合のいいように相槌を打ち、ペットと違って維持費はかからず、棺桶に入れれば死後の世界まで連れ添ってくれる。ぬいぐるみはあなたが望むなら「一生の友達」になり得るのだ。



一緒に苦楽を共にしたぬいぐるみ。彼等はあなたが呼び寄せればいつだって昔の思い出を引き連れ懐かしい感情の波へと誘ってくれる。楽しいばかりではなく、時にもの悲しく。

そんな「哀愁」こそ「かわいい」の裏側に潜んでいるものに他ならない。すみっコぐらしもこの「哀愁」を含んでいる。かわいいは明るいだけじゃない。光の裏の影の要素を含んでいるから人間はその複雑な魅力にどんどん惹き込まれる。



映画すみっコぐらしがヒットした理由もそこにあると筆者は考える。サンエックスは今までのノウハウからショートストーリーを何本も編集したオムニバス映画を作ることもできたはずだ。それを今回、一本物のストーリー映画で勝負してきた。それに対する大衆の反響は冒頭で述べた通りである。意図して泣かせるために計算して作られた映画ではなく、コンプレックスを抱えたキャラクターの等身大に迫ったストーリーだからこそ、観客はその真摯な姿に心打たれた。



生き方を飾ることなんてない。すみっコぐらしは我々にそう教えてくれる。誰だって心に一つくらいは後ろめたさを感じながら生きている。だけどそれは悪いことじゃない。

それでも生き方に悩んで眠れない夜があれば、かつてぬいぐるみと一緒に過ごした頃を思い出そう。そしてまた彼等と同じ時を過ごそう。いつだって彼等はあなたの一番の理解者なのだから。

Written by Shinobu Misono
Copyright LagonGlaner and Author

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